Pythonのスキルを持っているなら、それを活用して収入を得ようと考えている人も多いと思います。Pythonは様々な分野で使われている人気のプログラミング言語で、副業で稼げる機会がどんどん増えています。
このページでは現役エンジニアの私が、Pythonの副業案件の実態について徹底的に解説しています。
- Pythonで副業は可能か
- 必要なPythonのスキル
- Pythonの副業案件を獲得するまでの流れ
- 案件の獲得方法
なお、会社員の副業ではなく、フリーランスとして独立する方法はこちらの記事でまとめています。
Pythonの副業案件と収入相場
ここ最近ではPythonの人気が急速に高まっており、求人や案件数が増加しています。
オランダの調査会社 TIOBE が毎月発表している、プログラミング言語ランキング「TIOBE Index」では、2021年10月に史上初めてPythonが1位となりました。JavaやCといった伝統ある人気言語を抑えたことで、世界的にもPythonの人気が高まっていることが証明されました。
TIOBE より
Pythonでできることは本当に様々で、他の言語と比べても稼げる領域は広いです。
この章では、特に現在案件数が多い業務に注目して解説します。どれもスキルと経験で高収入を目指せる案件なので、副業にもオススメです。
データ取得、分析(データアナリスト・サイエンティスト)
データサイエンティストの求人は、Pythonでデータを分析、モデル化する仕事です。
どこまでやるかは案件次第ですが、データを処理する流れは以下のようになります。
データの収集 | スクレイピングなどで公開データを収集したり、企業のデータベースから取得する |
データのクレンジング | データを分析しやすいように形式を整えたり、欠損値を補ったりする |
データの分析と可視化 | データの傾向や関連性などから結論を導き、説明できるようにグラフなどを作成する |
データのモデル化 | Scikit-learn、TensorFlow、PyTorchなどのライブラリで統計・機械学習・AIのモデルを作成する |
データサイエンティストの案件は他の開発案件に比べると単価が高めです。需要が大きいのに人材が少ないからです。学ぶことが多く難易度は高いですが、高収入の副業を獲得するなら狙い目です。
Web制作
Webアプリケーション開発の仕事は主に、画面表示を作るフロントエンドと、サーバー側で処理を行うバックエンド(サーバーサイド)の2つに分けられます。このうちPythonで開発するのはバックエンドの処理で「縁の下の力持ち」の部分です。
PythonでWeb開発といえばDjangoやFlaskといったライブラリが有名どころ。難易度は高くないので、比較的経験が浅くてもトライできるでしょう。
全体では、データサイエンティストの次くらいに案件数が多く、単価もそれなりに高めです。Pythonの副業として始める人に最もオススメできる業務の一つです。
業務自動化
ここ数年で爆発的に伸びているのが、Pythonによる業務自動化の分野。
正確には、もともとプログラミングをすればできた自動化が、Pythonでより簡単に低コストで実現できるようになったと言えます。そのため業務自動化は、最近は副業で取り組みやすい案件が増えています。
例えば、次のような業務自動化があります。
- ファイルやフォルダの整理
- メールの整理、通知、送受信
- Excel、Word、PDF、テキストファイルの自動加工
- 画像や動画の自動編集
- Webブラウザの自動操作(マウスやキーボード入力)
- その他OSレベルの自動操作
Pythonは高機能な外部ライブラリが充実しているので、Pythonの基礎知識とライブラリの使用方法が分かれば開発可能です。
自動化案件の単価はピンキリですが、エージェント経由でちゃんとしたクライアントの仕事をもらえれば高単価も狙えます。需要がとにかく多いので、クラウドソーシングでも探せばいい条件の案件を見つけられると思います。
クラウドソーシングの案件例
クラウドワークスより
Pythonで副業するための必要スキル
実務未経験でもPythonの案件をもらうことは可能です。
とはいえ「Pythonを動かせます!!」程度ではお金をもらえる仕事はできません。
まずはどのくらいのPython理解度があれば副業案件ができるか解説していきます。
Pythonの理解度
Pythonの開発案件を副業でもらうなら、Pythonの基礎知識は最低限理解しておくのは必須です。理想は、基礎レベルの動画講座や教科書を一通り見て、疑問が無い状態です。
もちろん、全ての文法やモジュールの仕組みを理解しておくのは無理ですし、プロでも毎回調べ物をします。そのため、エラーメッセージやドキュメントを読んで、自分で調べ物(Google検索や質問)ができるレベルまで理解度を高めておきましょう。
案件獲得できるスキルセット
上で紹介したPythonの案件に共通している技術はWebです。
Web制作案件はもちろんですが、スクレイピングやデータ分析、REST APIの活用などでもWebの知識がないと実装できません。
Pythonのコーディング知識は必須ですが、それに加えてHTML・CSSやJavaScript、サーバーとクライアント、HTTP、ブラウザなどのキーワードについて、基礎だけでも理解しておいた方がいいでしょう。
仕事の進め方とマナー
自分で行う営業や、クラウドソーシングで案件を獲得したいときは、提案能力や交渉能力といったコミュニケーションスキルも必要になります。
一方、フリーランスエージェントを使うと、案件の営業や条件交渉、契約などの折衝をしてくれるので、コミュニケーションコストは低く抑えられます。
とはいえ開発に従事している間は、PM、他の開発者やデザイナーなどとのやり取りはどのみち発生します。そうしたときに円滑な報連相ができるかどうかで、クライアントとの関係性が決まると言っていいでしょう。
案件を継続できたり、別の仕事をもらったりするためにも、クライアントといい関係を築くのは重要です。そのため、最低限必要なマナーはスキルとして持っておいたほうが良いです。
(参考)さらに高収入を目指すときのスキルセット
API活用
APIとは、あるアプリケーションが提供している機能を外部から利用するための出入り口(インターフェース)のこと。Web経由で、他のサーバーにある機能を使用するものはWeb APIと呼ばれます。
分かりやすいのはデータベースのAPIです。公開されているデータベース情報をスクレイピングすることもできますが、APIを使えばもっと簡単にデータを取得できます。例えば、政府の統計情報e-Statや国立国会図書館などのAPIが無料で公開されています。
他にも投資関連では暗号資産の取引・データ取得を実行できるAPI(bitFlyerなど)や株価を取得できるAPIを使用すれば、資産の自動取引やAIの株価予想などもできます。
こうした高度な機能・データを自分で作ることなく、外部のサービスを利用できるのはAPIのメリット。PythonでAPIを使いこなせるようになれば、副業で対応できる案件も一気に増えます。
機械学習
Pythonの魅力はデータ分析、機械学習(AI)の実装が簡単にできること。
上で解説したように、データサイエンティストの案件は高単価なものが目立ちます。これから高収入を稼げるPython使いになるには、機械学習の分野の学習は必須といえます。
こちらの記事では、フリーランスのプログラマーが必要とするスキルをまとめています。これから副業でPythonの案件に携わるときにも役立つ内容なので、オススメです。
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Pythonの副業案件の獲得方法
最低限必要なスキルを獲得したら、さっそくPythonの開発案件を取りにいきましょう。
最近は案件を獲得するのに様々な方法があります。ここではオススメの順番で解説していきます。
フリーランスエージェントを活用する
これからPythonの副業で稼ぎたい人には一番おすすめの方法は、フリーランスエージェントに登録して案件をもらうことです。
エージェントが代わりになって開発案件の営業、条件交渉、契約手続きをしてくれるサービスです。なので、コミュニケーションコストが大幅に削減できるのが魅力です。また、抱えている案件がとにかく豊富なので、長期で安定的に稼げるという面もメリットですね。
初心者がクラウドソーシングなどで営業するのは容易なことではありません。代わりに営業してくれるフリーランスエージェントは、Pythonを副業にする人にとって最も簡単に仕事が得られる方法になります。
メリット |
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デメリット |
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まずは試しに案件を眺めてみたり、無料登録して自分にあった案件(未公開含む)を教えてもらうといいでしょう。以下は、現役エンジニアの目線から自信を持ってオススメできるフリーランスエージェントなので、参考にしてみてください。
ポテパンフリーランス
ポテパンフリーランスは他のエージェントと比べると経験値の少ない段階からフリーランスとして独立するエンジニアにおすすめしています。それは、現場経験が2年未満でも十分に案件が紹介してもらえる実績があるから。最大手のエージェントと比べれば全体の案件数は少ないですが、その分ベンチャーなどの案件が豊富です。若手や未経験者のサポートが充実しているところが最もオススメできるポイントです!
専門分野 | エンジニア、デザイナ、ディレクター、PM | |
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対応地域 | 東京、大阪 | |
サポート体制 | 税理士・FPによる節税、保険サポート | |
運営会社 | 株式会社ポテパン | |
向いてる人 |
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ポイント
- 有力ベンチャー企業の案件が豊富
- エンド直・元請け案件が多数
- 若手、未経験のエンジニアでも安心のサポート
- 案件参画後も丁寧なフォローアップあり
クラウドソーシングサイトに登録する
次に初心者にオススメなのはクラウドソーシングの利用です。
クラウドソーシングのサービスには常に大量の副業案件が登録されているので、自分のレベルにあった仕事を簡単に見つけられます。柔軟な働き方ができるのがクラウドソーシングの最大の魅力ですね。
デメリットは自分で営業活動をしないといけないところ。気になる案件があっても、他のエンジニアよりも技術面・予算面で魅力的な提案ができないと、採用してもらえません。
メリット |
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デメリット |
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大手で案件数が多いクラウドソーシングサイトとしては、ランサーズやクラウドワークスなどがあります。
見込み客に営業する
Pythonでできる副業の案件を探すのに、個人で見込み客に直接営業する方法もあります。
エージェントもクラウドソーシングも、案件ごとに手数料として10%~20%ほど取られてしまいます。手数料が気になる人には最適な手段です。
人づてに案件をもらったり、これまでにお世話になっていた企業などから仕事をもらえることもあるでしょう。いずれにしても、自分で営業しなければならず、信頼関係がない企業を相手にするとかなり難しくなります。また、契約書や請求書・領収書の発行などの事務手続きも自分でする必要があります。
見込みのクライアントに営業するのは、ある程度エンジニアとしての経験値と人間関係ができている人にだけオススメできる方法です。
メリット |
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デメリット |
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Pythonで稼げる案件の実例
週3日~ PythonのAI・機械学習フルリモート案件(~70万円)
鉄鋼業界で、製造手法のDX化を支援するプロジェクト。AIを活用し製造過程を最適化するお仕事です。週の稼働日数が3日と副業としても最適。
画像認識AIを構築するPython案件(~65万円)
画像認識とWeb開発を組み合わせたプロジェクト。データクレンジングやデータ分析などの知識を活かせる案件です。
Pythonで月50万円稼ぐまでのロードマップ
Pythonで副業をして稼ぐ流れと、必要なスキルなどを解説してきました。ここまでの解説を実践できれば、副業で月に数十万円稼げるようになるはずです。
さらに上を目指して、月に50万以上の収入を得るにはどうしたらいいでしょうか?
もちろん簡単な道のりではありません。時間も労力もかかりますが、スキルと経験値を少しずつ蓄えていけば、Pythonでそれくらいの収入を得ることは十分可能です。
ここからは、初心者の段階からPythonで月に50万円~100万円の副収入を築くまでのロードマップを提示していきます。
すでに少しでも開発経験がある人はSTEP3以降に飛んでください。
STEP1. オンライン動画講座でPythonの基礎を学ぶ
まずはPythonの文法・基礎知識を学びます。
書籍を買って完全独学でやってもいいですが、個人的にオススメはしません(挫折する確率は90%以上と言われています)。
誰でも手軽に勉強しやすいのはオンライン動画講座です。
Pythonの講座も、基礎~応用(データ分析など)まで、無料~数千円程度の講座がたくさんあります。私個人が受講してみても、案件をもらえる程度のレベルにも十分に到達できる質があると感じました。普通に教科書を買うよりも安く済むので、学生や社会人にもオススメの方法です。
ほかにも「Python」で検索するといろいろ見つかります。
もしPCに不慣れだったり、Webの仕組みについて疑問があるときは、基礎レベルのIT講座がオススメ。それを一通りクリアできたらPythonの基礎講座を受講しましょう!
超初心者がゼロからIT基礎知識とAWSの基礎力を獲得する講座【AWS操作を通してインフラやIT知識を獲得】
これだけ知っていれば大丈夫!プログラミング入門以前の基礎知識
STEP2. クラウドソーシングなどで実績を作る
Pythonを使って開発ができるようになると、初心者でもそれなりに稼げるようにはなります。
ですが、初心者がいきなりデータ分析、機械学習モデルの開発を受注したりするのは厳しいと思います。エージェントを経由しても、そのような高単価な案件はもらえないでしょう。
なので、まずはクラウドソーシングなどで小さな案件をこなして実績を作っていきましょう。
Pythonを使ったスクレイピング(データ収集)や小さなサイトのWeb制作などは、初心者でも取り組めます。これでまずは数万円~20万円ほどの収入を目指します。
小さな案件でも、確実に経験値は得られますし、蓄積していけば将来アピールポイントにできます。
STEP3. さらにスクールで実践的なスキルを獲得する
Pythonを使った副業で、さらに高単価な案件を獲得するには実務的なスキルを伸ばしていく必要があります。
フリーランス独立で最も確実なのは、一度会社員として2~3年経験してから案件を探すこと。副業も基本はこれと同じですが、現在すでに会社員をしている方や学生の方なら、スクールに通うのもひとつの方法です。
すでにエンジニアとして実務経験があるなら、すぐにSTEP4に移って構いません。それ以外の人は、より高単価を目指すなら実務的なスキルを取得するのは必須です。スクールに通うか、もしくはエンジニア職に転職するのがオススメです。
現役エンジニアの目線から、信頼できるスクールを解説した記事はこちら。
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STEP4. エージェント経由で高単価案件をもらう
あとはフリーランス専門エージェントでスキルに見合った高単価の案件をもらうだけです!
Pythonの副業でも、安定的に高単価の案件を紹介してもらうには、スキルを少しずつ得ていく必要があります。フリーランスエージェントは、Pythonエンジニアのレベルにあった案件を探してきてくれるので、長期的に副業で収入を伸ばしていくのにも活用しやすいです。
そのほかでは、知り合いのクライアント企業などに直接自分で営業して案件を契約する方法もあります。経験値とスキルが蓄積してきたらトライしてみるといいでしょう。
Python案件でよくある質問と回答
リモートワークや在宅でできるPythonの案件はある?
副業でできるPythonの案件には、完全にリモートOK(在宅可)の案件が豊富です。
特に最近はリモートワークがどの企業でも進んでいるので、大多数の案件は一部リモート可となっていることが多いです。
一方、金融や保険、個人情報を多く扱う業種や営業機密を守る必要のある現場では、原則出社作業となっているところもあります。
週に2~3日だけの案件はある?
Pythonの案件には週に数日働くだけのものも多いです。
特にクラウドソーシングの案件は、納期さえ守れば、どのようにリソースを投入してもOKです。そのため、週に何日働いても、ちゃんと成果物が完成すれば問題ありません。
フリーランスエージェントを経由してもらえる仕事は、フルタイムの案件が多いですが、一部週2~3日勤務の案件もあります。また、土日のみといった案件もあるので、副業にも向いているでしょう。
Pythonで案件もらうのに年齢制限はある?学生でもOK?
Pythonを副業にする案件のほとんどは年齢制限はありませんが、少なくとも責任能力のある18歳以上の成人である必要はあります(企業と契約書を交わすため)。
10代の大学生、20代の新入社員、30代以降のベテラン会社員など、何歳でも副業としてなら案件にジョインできます。
どの年齢層でも、Pythonの基礎的なスキルと知識があれば、副業として案件をもらうことは可能です。
他の言語の知識も必要?
Pythonの知識だけでも対応できる案件は多いです。
とはいえ、上述したとおり、PCの使い方やITの基礎知識、Webの仕組みについては、ベースとして知っておかないといけません。
また、他の言語(例えばHTML/CSS、JavaScript、SQL)やフレームワークの知識を持っていると、高単価の案件を受注しやすくなります。
Pythonのスキルが上がってきたら、他の言語のスキルも伸ばしていけばいいでしょう。
まとめ
Pythonの副業案件の実態、案件を獲得するまでの流れ、必要なスキルなどについて解説しました。
今は、初心者からでもPythonのスキルがあれば副収入を稼げる環境です。持っているスキルを生かして副業で稼いでいきましょう。