ITエンジニアになったら勉強が必要という話を聞きますが、実際どのくらい勉強しなければならないのでしょうか?
普段業務で忙しいエンジニアが勉強を継続していくのはとても難しいことです。今回は、現役エンジニアが、普段実践しているテクニックやデータを示しながら、継続して勉強するコツについて紹介しています。必要勉強時間については、
- エンジニアになるまでの必要な勉強時間
- エンジニアになってから収入を上げるために必要な勉強時間
を解説しています。
ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
エンジニアになるまでの必要勉強時間
ITエンジニアとして自分で仕事ができるまでに必要な勉強時間はどのくらいでしょうか?
まず、エンジニア業界に関係なく「1,000時間の壁」という理論が有名です。
あるスキルを獲得して仕事ができるようになるまで1,000時間かかるという主張です。
現役エンジニアの体感としては、現在の情勢だと1,000時間未満でも必要な能力は十分に獲得できると思っています。教材が充実しており、入門者のリテラシーレベルが高めだからです。初心者が参入しやすい環境が整えられてきているので、コンスタントに勉強していれば3ヶ月~半年くらいでエンジニアになれるかもしれません(人によります)
とはいえ、より高いポジションのエンジニアになるには、1,000時間の壁はむしろスタートラインとなります。例えば、人気企業への就職・転職や、フリーランスとして独立するのには1,000時間は最低ラインです。(ノースキルからスタートすると2,000時間くらいは必要かもしれません)(人によります)
なお、プログラミング言語を効率的に学ぶ方法は以下の記事で詳しめでまとめています。
エンジニアが学び続ける理由


ITエンジニアは忙しくて体力も必要な仕事です。こんな悩みも、すごく理解できます。
しかしITエンジニアとして働く以上、勉強する習慣は避けられません。なぜなら、
- 技術は陳腐化する。最新技術でも、数年後には使われない可能性が結構高いから
- 努力と体力で勝負するより、知識とスキルで生産性を高めたほうがいいから
- 収入は勉強時間に比例するから(後述)
- etc...
すでにITエンジニアとして活躍している人なら、勉強しないエンジニアは早い段階で業界から去っていくことはよく理解されているかもしれませんね。
平均年収が高い先端IT人材は、非先端IT人材よりも勉強に多くの時間を使っています。
身近な先輩や優秀な同僚も、普段は何食わぬ顔をしていても、裏では膨大な勉強をしています。もちろん、勉強が趣味という人もいるかもしれませんが。
というわけで、ITエンジニアでいる以上は関連技術やスキルの勉強は習慣化する必要がありそうです。では実際にエンジニアはどのくらい勉強しているの(すべき)でしょうか?
エンジニアがスキルアップに必要な勉強時間
収入を上げていくためにも、継続して勉強が必要です。
どれくらい稼ぎたいかにもよりますが、目指す収入によってはかなりの勉強量が必要となります。
経済産業省がITエンジニアの各年収層に調査したところ、1週間あたりの勉強時間は以下のようになりました。
年収階層 | 週平均勉強時間(時間) |
---|---|
年収300万円台 | 1.4 |
年収500万円台 | 1.8 |
年収700万円台 | 1.9 |
年収1,000~1,400万円台 | 2.6 |
年収1500~万円以上 | 3.7 |
各数値の原典:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経済産業省)
年収が高くなるほど、勉強時間が長い(相関関係にある)という結果となりました。
1日あたりに換算すると、全年収階層の平均で15分~、1,000万円以上だと平均で23分~以上勉強していることになります。
つまり、毎日、朝と夜に20分程度は勉強時間を作っている人が多いのです。もちろん、調査結果は平均値なので、理解度が低ければもっと長い時間の勉強が必要となります。
とはいえ、すべてのITエンジニアがこのようにコンスタントに勉強時間を作れるとは思えません。仕事を続けながら毎日一定量の勉強をするのは非常に努力が必要になります。
そこで、この記事では、エンジニアが勉強する方法(スタイル)を列挙し、勉強を効率的にする方法を提案しています。
効率化して勉強時間をできるだけ圧縮しないと、継続も難しくなります。しかし、ITエンジニアという仕事をする上では技術の勉強を継続していくのは絶対不可欠です。だからこそ、安定した収入UPには、効率的・効果的に勉強するスキルこそが最も重要なのです。
エンジニアの勉強スタイル一覧
まずはITエンジニアが普段、スキル・知識を獲得するためにできる勉強スタイルをまとめます。その後で、これらを組み合わせて継続的に勉強できるようにする戦略について検討します。
書籍や雑誌で専門分野を伸ばす
一番身近な勉強法は、本や雑誌(Web含む)で知識を得ることではないでしょうか。
電子書籍がワンタップで購入できる時代なので、理解しやすい解説書を気軽に手に入れられます。初心者のエンジニアにとっては難しい存在ですが、実務的な理解を得られる技術書は今でも勉強のお供としては最適です。
セミナー・交流会参加して実例を知る
ITエンジニアの業界では、社内・社外でセミナーや勉強が頻繁に開催されます。メーカーやベンダー主催のセミナー・イベントもありますが、有志で若手エンジニアが集まり自由なテーマで開く勉強会もあります。
いずれも、一方通行にはならない勉強スタイルが魅力です。一方的に教わるだけでなく、他のエンジニアに教えることで理解が深くなります。
資格取得を目指す
ITエンジニアで何も関連資格を持っていないという人はかなり少なくなりました。業務で使用する資格なら、持っているだけで報酬がもらえる会社もあるでしょう。たとえ業務で使わなくても、将来の転職やキャリアアップのために、ベンダー資格や公的資格を取得する人も増えてきました。
中には難易度が高く、取得にコストがかかる資格もありますが、将来の自分のスキルアップが目に見える形で獲得できるのが魅力です。
エンジニアが継続できる勉強戦略
収入が高い人ほど継続して勉強してスキルアップを図っていること、さまざまな勉強スタイルがあることを見てきました。
では、どのように戦略を立てれば、ITエンジニアが仕事をしながら継続して勉強できるでしょうか?
短い時間を毎日確保する
対象:現在の業務では使わないが将来のキャリアアップに必要なスキル、タスク管理やマネージメントなどのビジネスマインド系
まずは定番のアプローチですが、習慣化の魔法を利用することです。
人間は習慣の生き物と言われるように、一度習慣化された日々の行動は、楽々と長い期間継続できます。
学生を例にすると、試験期間中だけ勉強する学生が、1日2時間勉強するのは苦痛に思うかもしれません。しかし、毎日2時間勉強する習慣のある学生が、1日2時間勉強するのは日常のありふれた行動ですよね。
ITエンジニアの場合、上記の平均データを引用するなら、1日数分~10数分だけ勉強すれば及第点です。
ポイントは毎日かならず同じタイミングで習慣化すること。
数分~10数分の短い勉強を、例えば起床してすぐとか、ランチタイムの終わりに少しとか、電車の移動中とかに必ずするようにします。2週間毎日これを続けます。そうすると、習慣化したタイミングになると、自然に勉強に向かえるようになるはずです。
スケジュールに組み込む
対象:直近で使用する知識・スキル、担当業務の周辺知識
数時間単位でまとまった勉強時間を確保したいときは、あらかじめスケジュールシステムに登録しておきます。仕事やプライベートなど、他の予定の影響を受けないように、数日前の段階で日時をしっかり決めておくとよいでしょう。
資格取得などのデッドラインが設定されている状況では、毎週、毎月の一定量の勉強を確保する必要性があります。その場合は、スケジュールシステムでカレンダーの繰り返し機能を使って、一定間隔で勉強時間を設定するのがオススメです。
社内勉強会やセミナーを活用する
対象:すべて
社内外で開催されるセミナーや勉強会に参加するのも、ITエンジニアが継続的に勉強する戦略として有効です。
特にセミナーは数週間前から日時が決定している場合も多く、スケジュールに強制的に組み込むのに便利です。興味をもった内容なら、セミナー受講後も継続して勉強するやる気も湧いてくるでしょう。
また、社内外の勉強会では、単にリスナーとして参加するだけでなく、発表者として人に教える機会もあるでしょう。もちろん人に教える側となると、内容をある程度は理解している必要があります。しかも、期日が明確に決められており、準備期間内に人に分かりやすく説明するよう整理しなければなりません。強制的に勉強するという意味では最高の機会です。
オンライン動画講座を活用する
対象:すべて
現在、オンラインで見られる技術講座、セミナーは数え切れないほど存在しています。定番の有料サービスもありますが、YouTubeをはじめに無料で見られるコンテンツも多くあります。
オンライン動画講座のメリットは、自由に片手間で勉強ができるというところ。
例えば、移動中や家庭の事情などで、いつもハンズオンできる環境というわけではないかもしれません。そんなとき、オンライン動画ならヘッドホンを付けて再生するだけで勉強ができます。必ずしもキーボードを操作できなくても、勉強は可能です。
スキマ時間を一番有効に活用できる方法です。
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まとめ
ITエンジニアとして活躍し続けるには、企業人でもフリーランスでも、勉強し続ける必要があります。そのためには、継続して勉強していく習慣化、効率化するテクニックが重要です。
まとめます。
ポイント
- エンジニアは業務外で週に2時間程度は勉強が必要
- 収入(年収)は勉強時間と相関性がある
- 継続して勉強するには習慣化などの戦略が重要
何よりも無理せず続ける戦略が大事。自分にあった勉強スタイルと組み合わせて、取り組んでみましょう。